82.火星人来襲？　詩集

「詩集　火星」　中山啓　新潮社　初版　
　三井甲之宛毛筆署名入
　大正13年5月23日　21,000円

　「火星の人間が怪奇な飛行機にのつて／この地球を侵略しにやつて来る―／空中戦争が始つて地球がたが敗北する／世界の連合軍が散散な目にあつて／人類はみな鉱山の中へ逃げ込まねばならぬ……」

　すわ、火星人来襲！　SF詩人として知られる中山啓（中山忠直）の第二詩集です。のちに中山皇漢医学研究所を設立し、漢方医書も執筆していますが、まあ変わったお方。「極右思想の社会主義者」（←なんなんだ？　笑）（『日本SFこてん古典』横田順也）なのだそうです。

　本書は歌人の三井甲之へ宛てた献呈本のためでしょう、ところどころ、おそらく著者自身で誤植や伏字箇所に手を入れてあり、そこにも価値がありそうです。