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古本倶楽部287号 お喋りカタログ13 |
67.命あるうちに愛楳全集 藤井宣正遺稿 島地大等編 森江書店・鶏声堂書店 初版
明治39年11月5日 84,000円 支那仏教史、英国教育制度概況・内国視察・外遊漫筆および付録を収録。 外遊漫筆は著者の滞欧記録と印度旅行記録。また付録には自伝、著作総目録、また「逸事」として井上円了、姉崎正治、毛利柴庵、杉村縦横(楚人冠)らによる追悼文を含めます。 著者は島崎藤村の『椰子の葉陰』のモデルとして知られます。仏教界きっての俊秀でしたが、若くして亡くなり、また研究対象も地味な分野で、しかもその研究成果が下記の理由で残らなかったため、この小説によって後の世にその存在が知られたと言ってよいかもしれません。 藤井さんは西本願寺初の内地留学生として東大哲学科を卒業後、しばらく欧州に派遣され、西欧の政教文化や仏教美術研究の動向を調査します。さらに大谷探検隊の実質的なリーダーとしてインド、中央アジア、東南アジアへ幾度も渡り、精力的に仏教伝搬に関する調査を行いました。シルクロードの研究、エローラ石窟、アジャンタ石窟の調査などに結果を残していますが、実は大部の研究報告書が、本国へ輸送の際に失われてしまいます。 もともと病弱な体質で、結核の持病もありながら、彼はその後も昼夜わかたず研究に没頭。そして再度命をうけて調査研究に向かう途上、仏マルセイユで客死してしまいます。享年45歳。 島崎藤村は彼の残した日記や家族へ送った絵葉書などをもとに、上記の小説を発表したのですが、実は藤井の業績はこの作品を通して、藤村研究家によって再評価されたのでした。 あまりの猛勉強ぶりに、これでは早死にしてしまうと意見をした義弟に対し、藤井さんはこんな風に答えたそうです。「人より早く死ぬ以上、より多く勉強しなければ、命あるうちに人並みの仕事はできない」。 関連商品一覧
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2023年6月 5日 月曜日 | 48663868 リクエスト (2005年9月25日 日曜日 より) |