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29.切腹を見たフランス人
「惨風苦雨堺聞書」井上笠園 和装活字本 題箋付
明治25年3月序 84,000円
本書の存在はあまり知られていませんが、鷗外の『堺事件』、近年では大岡昇平『堺港攘夷始末』で知られる不幸な事件を小説化した、おそらく最初の作品でしょう。
堺事件とは、新政府になったばかりの慶応4年2月、堺に無断上陸したフランス水兵を警護の者が殺害した責を負い、賠償金支払いとともに、警護にあたっていた土佐藩士11名が切腹した事件です。当初は警護の20名全員が切腹する予定でしたが、立会のフランス軍艦長が、そのあまりの凄惨さに耐えられず中止を要請、9名が助命されました。
著者の笠園については、大岡昇平『堺港攘夷始末』(中央公論社 平1)より抜粋します。「井上笠園は文学辞典類からはとっくに消滅しているが、福本氏の考証によれば、当時は菊池幽芳と並び称された大阪文壇の花形であったという。慶応三年、下総国佐倉生れ、慶応義塾卒業後、「都新聞」記者、明治二十六年「大阪毎日新聞」に入社する前の一年半、不明の理由で ―高知市「土陽新聞」にいた」、という人。
笠園さん、明治期の関西ではなかなかの大物だったようです。本書はその高知在住時代のものでしょう。文章はいかにも小説なのですが、序によれば「此篇すべて横田辰五郎氏の日記及び土居八之助氏の物語による。氏は当時嬉しからぬ命助かり人、云々」とあり、生存者に取材した実録なのです。
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