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古本倶楽部287号 お喋りカタログ13 |
24.カリュー氏殺人事件?在庫の中から その24
■□■□ カリュー氏殺人事件? ■□■□ 『Death of Mr,M.R.H.Carew』 1897年横浜刊 52,500円 ジャパン・ガゼットの記事をリプリントし、製本した書物。背革マーブル紙表紙。 カリュー氏の死? 事件記録のようです。ほとんど洋書は扱わないのですが、たまさか市場で何冊か、古い日本案内の洋書が束ねてあったのが気になって、とりあえず仕入れたのです。実のところ最初はドイツ語の、芸者さんが表紙の本に目がいってたのですが、この表題を目にして、どうもひっかかっていました。表紙に文字はなく自家製本のような感じ。ただしこの題名、どっかで聞いたことがある。ううむ、なんだったっけ? 時は明治29年、横浜の外国人居留地で事件は起きました。被害者は英国紳士の出入りする横浜ユナイテッドクラブの支配人、ウォルター・カリュー。どうも毒殺されたらしい。容疑は英国名門出身のうら若き美人の奥さん、イーデスにかけられます。当時の日本は不平等条約があったために、裁判は英国人の陪審員制度による領事裁判として開かれました。そしてこれが殺人事件か否か、しばらく開花期の横浜中の耳目を惹く難事件となったのでした。 さて死亡したカリューは砒素を常用していました。意外ですが砒素は古代から薬として用いられており、医学の父ヒポクラテスは紀元前5世紀に砒素を皮膚病の治療薬に推しています。古代ローマ人も肺結核や喘息などに使ったらしい。砒素というとつい和歌山のカレー事件を思い出しますが、昔は薬としても使用されていたのですね。 カリューの死因は当然ながらその砒素によるもの。だが果たして事故か自殺か、それとも美人の奥さんが犯人なのか、はたまた他の「誰かさん」による犯行か。カリューは砒素を何度も薬屋で購入しており、その薬屋というのが丸屋つまり今の丸善です。この洋書の老舗は当時、輸入薬も扱っていたのですね。 さて第一容疑者の妻イーデスに、やがて年下の銀行員の恋人がいたことが発覚。こいつも怪しい。さらに主人の手紙を盗み見していた女家庭教師や、姿をあらわさない謎めいた黒衣の女アニー。これら登場人物の行動も、いかにも疑わしげだぞ。おおお、まるでミステリーではありませんか。けれどすべて本当にあったこと。 実は、上記したことは徳岡孝夫著『横浜・山手の出来事』によりました。横浜で実際にあった砒素殺人事件を追跡したノンフィクション。この作品は平成3年にみごと日本推理作家協会賞を受賞しています。 そして本書。つまりこれがネタ本なんですね。読めたら面白いと思うのですが、自慢じゃないが英語は全くだめ。事件の概要は徳岡さんの著作に頼っているわけですが、この本は当時横浜で刊行されていた日刊新聞、ジャパン・ガゼットの記事を合本するような形で刊行されたもの。奥付には「yokohama,February 5th.1897」 とあります。事件の翌年の刊行ですね。さぞかし当時の生々しい記事が収録されていることでしょう。 さてさて、事件の真相やいかに! 関連商品一覧
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2023年6月 5日 月曜日 | 48664694 リクエスト (2005年9月25日 日曜日 より) |