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古本倶楽部287号 お喋りカタログ13 |
23.大拙さんの奥さん■□■□大拙さんの奥さん■□■□
「青蓮仏教小観」鈴木大拙編 和装五編二冊 帙付 編者毛筆献呈署名入 昭15 157,500円 題名と書影をみただけでは、なんだかえらく古めかしく小難しい仏教書のようですね。 近代禅の泰斗といえば、まず鈴木大拙の名前を指折られましょうか。鎌倉禅の大成者・今北洪川や釈宗演に学び、西田幾多郎の哲学にも影響をあたえた人物。仏教思想家としてだけではなく、英語の著作で禅を西欧に広めた功績は大きく、さらにスエデンボルグ『天国と地獄』等の邦訳を通じて、あちらの神秘思想をいちはやく日本に紹介しています。 もっとも大拙さんの思想を語るのは荷が重い。ここはあまり知られていないその奥さんの話。『青蓮仏教小観』は、鈴木ビアトリスの遺稿集。青蓮は戒名です。名前でわかるように、もとはビアトリス・レインという米国女性でした。コロンビア大学を卒業後、明治の末頃に釈宗演師に同行して渡米中だった大拙と知り合い、やがて結婚。後半生を日本で過ごしました。 もともと東洋思想に造詣のあった人ですが、来日後はさらに熱心に仏教の研究を進め、寺での修行にも励んだようで、この本の巻頭には托鉢姿のビアトリスさんの写真も収められています。 昭和14年に病で亡くなられ、その遺稿をまとめたものが本書。彼女には数点の著作も刊行物としてあるのですが、おおむね小冊子のパンフレットのようなものなので、市場に見かけることもなく、まとまった文章に接するにはこの遺稿集以外にないようです。 つらつら読んでみると、仏教研究に関する文章はさておき、彼女が草花や動物を愛し、生活の隅々までこの国の「美質」に浸っていたことが理解されます。また編者である大拙さんの序文は、淡々としながら哀切にみちていて、良い夫婦だったことも偲ばれます。英語の著作も多い大拙さんを陰で支えていたことも想像されます。 詳細は知り得ませんが、彼女のお母さんはもともと英国貴族だったそうで、米国人レイン氏と恋におち、一族の猛反対のなか駆け落ち同様に母国を離れたようです。その逞しい進取の血が彼女に受け継がれたのかもしれませんね。 今では国際結婚は珍しくはありませんが、明治の時代に東洋思想に興味を持ち、ついに仏道を歩む日本人と結婚して、禅三昧の生涯をおくった米国人女性。面白い人生を歩んだビアトリスさんに、ちょっと興味がわきませんか? 関連商品一覧
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2023年6月 5日 月曜日 | 48664672 リクエスト (2005年9月25日 日曜日 より) |