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古本倶楽部287号 お喋りカタログ13 |
21.子規の送別歌□■在庫の中から その21 正岡子規の送別歌□■
正岡子規歌幅 村上霽月箱書 紙本絹装 130×30㌢ 1260,000円 「ふらんすのぱりにゆく絵師送らんと画をかきてくひ牛くひてかく」 箱の表書きは「竹の里人 短歌」、その裏には「此半切ハ子規居士が明治三十四年洋行せし不折画伯を送りし歌なり 霽月題」とあります。 「竹の里人」はもちろん子規のこと。また「不折画伯」は中村不折です。子規や漱石の句友であった村上霽月の箱書き通りに歌をみれば、絵画研修のためにパリへ留学する親友・中村不折に絵を描いてやろうと、好物の牛肉をもりもり喰いながら、はりきって絵筆をふるっている子規、というようなユーモラスな姿がついつい思い浮かびます。 が、実際には、この頃の子規は死の病床にありました。ちょうど日記『仰臥漫録』や、末筆となった『病床六尺』を書いていた時期と交差します。日々病に苦しみながら、しかしこの頃の子規の文章はとてもいい。不思議な透明さと、たくまざるユーモア、妙な言い方になりますが、「健康な明るさ」すら感じられる気がします。 この正岡子規という人、近代短歌・俳句の革新者としてつとに著名です。が、実は近代文人の墨蹟を扱う業者にとって、鬼門の一人なのです。 現在ではじかに子規の作品に親しむより、司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』で識る人の方が多いのかな、とも思いますが、戦前まで、いや戦後もしばらくでしょう、歌俳の世界では神さまのような存在でした。尊崇する人が多く、書や手紙などを欲しがる人も大勢いらっしゃる。そうなれば墨蹟はずんずん高値に。しかし本人は早くに亡くなっているので、残された肉筆は限られている。 するとどうなるのでしょう。 偽物が出回るのですね。需給の原理(笑)。駆け出しの頃は先輩から、この署名の「規」の最後の跳ね具合で判断するんだとか、筆の勢いで見るんだよ、などと教わりました。これがなかなかに難しい。え? この歌幅は大丈夫かって? いや、掲載品は良いものなんです。もう絶対、まったくそうに違いない(笑)。 ちなみに同じものではありませんが、この歌はアルス版の『子規全集』六巻巻頭には短冊の複製として収録されています。そして子規の真筆はそう多くないのですが、短冊より幅が、さらに俳句より歌の方が、圧倒的に少ないのです。 関連商品一覧
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2023年6月 5日 月曜日 | 48664641 リクエスト (2005年9月25日 日曜日 より) |