17.芦原皇帝勅語

□■芦原皇帝勅語■□
　
半紙墨書（印）　24.5×33㌢　84,000円

芦原将軍をご存知でしょうか。戦前は知らぬ者がないほどの人気者でした。

芦原将軍こと芦原金次郎は嘉永三年、金沢生まれ。櫛問屋の職人だったのですが、25才ころから自分が大将であるなどと大言壮語をしはじめたようです。やがて天皇への直訴未遂事件をおこし、巣鴨病院に強制入院。その後、脱走と入退院をくりかえし、大正8年からは松沢病院へ転院。とかくその言動は耳目をひいたようです。しばらく新聞記者や参観者が、彼の誇大妄想的な話を聞きにおとずれるようになり、昭和12年87才で死去するまで、マスコミの寵児としてもてはやされました。

芦原将軍の社会情勢や政財界に対する発言は、突飛ながらもツボを得ていて、時代の一面をうがつような部分もあり、なにより面白いということで、折に触れては「会見記事」が新聞誌上をにぎわしたのです。

どこまでが狂気でどこまでが正気なのか、芦原将軍は来訪者を相手に自家製の大礼服姿を記念撮影させて撮影料をとったり、この「勅語」などを売りつけたりと、なかなかちゃっかりしていました。また、かの島田清次郎が、晩年は芦原将軍の秘書として手紙の返事を書いていたとも聞きます。

上記の「勅語」は昭和十年、晩年に近いもの。彼はこのころから「天皇」を自称するになったと聞きますが、「皇帝」でもあったようですね。