142.日系米市民第一号

「甘蔗の志ぼり滓」　勝沼富造
　勝沼記念出版後援会　初版　
　大正13年7月2日　12,600円
　日布間船舶出入表付（明18～大13　1頁少破れ有）

　著者は福島出身の獣医さん。米国留学を経てシカゴで開業、米国市民権をはじめて得た日本人ともいわれています。その後、移民会社より招聘をうけてハワイの地に骨を埋めました。世話好きな人だったようで、戦前のハワイ日系人社会の重鎮でした。

　本書は『日布時事』日曜号に掲載された随筆をまとめたもので、内容は多岐に亘りますが、明治大正期の移民事情や来布した著名人の消息など話題豊富。なかなか面白く読めます。

ちなみに書題の「甘蔗」はサツマイモ（甘藷）ではなくサトウキビ。この絞り滓、近年はガソリンの代替燃料として注目されていますが、この当時は紙の原料に使われていました。