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97.漢学者のラブ哲学

97.漢学者のラブ哲学
支那文学雑考 児嶋献吉郎 関書院 
初版 函付 昭和8年10月27日 4,725円
 
児嶋献吉郎は東大の支那古典学科出身で、明治以降しだいに衰えていくわが国の漢学をささえた碩学のお一人。『支那文学史綱』『支那諸氏百家考』などの著述を残しています。

本書は雑考とあるので、少しは柔らかいかな、と頁を開いてみると、「毛詩考」「楚辞考」「詩仙李白考」。いかにも実直な漢学者らしい「雑考」が続きますが、末尾の九篇・予の倫理観、十篇・予の文章観あたりで、少し本人のお顔が覗けるようです。本の価値とは関係ないのですが、「予の文章観」中にこんな記述があり、つい吹き出してしまいました。

「最近予は帝国劇場にて、女優森律子の演ぜし喜劇『ラブ』哲学を観し時、竊に前述の源氏物語の一節を思ひ浮べしことありき。予は本来女優劇を好まざるものなり。ただに女優劇のみならず、新俳優の芸術は芸術として価値少なきものと信じぬ。況や又喜劇は予の先天的に甚だ好まざるものなり。而して『ラブ』哲学の筋は所謂新しき女、即ち学者振る女性が学問を鼻にかけ、生意気なる言語態度を以て亭主に厭がられ、家庭に波風絶え間なく、遂に離縁の已むなきに至る。しかも新しき女は少しも自ら反省するなく、意気昂然として独り嘆じて言ふやう、噫不可解なるは男の心と……」

引用が長くなりましたが、さて児嶋さん。女優が嫌いで新劇が劣った芸術と信じており、さらに先天的に喜劇を受けつけず、なおかつ鼻もちならないインテリ女が主人公で、……もう彼にとっては三重苦いや四重苦。ではなぜそんなお芝居を観にいったのでしょう?

帝国劇場で演られた「ラブ哲学」は、実業家で喜劇作家の益田太郎冠者の代表作。当時の女性に大人気のお芝居でした。あくまで想像ですが、これはきっと、奥さんにせがまれて無理やりつきあわされたに違いない(笑)。
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